HLA(ヒト白血球型抗原)技術情報用語集
C1q、補体結合性抗体
C1qとは補体の古典的経路(Classical pathway)の最初の成分です。補体は肝臓で合成され血中に放出されます。IgMまたはIgGの抗原分子のFc部分に補体成分C1qが結合し、C1qはC1rおよびC1sと複合体を作り活性が始まります。
IgMは1分子で活性が開始されますが、IgGの場合は2分子以上に架橋して活性が開始されます。
抗HLA抗体には補体結合性抗体と非補体結合性抗体の2種類が存在します。
腎臓移植患者においては、補体結合性抗体とドナー特異的抗体(DSA) の存在が急性および慢性の抗体関連型拒絶反応(AMR)に影響があるとされています。
また、移植前に形成されたC1q結合DSAは、CDCクロスマッチ(CDC-XM)陽性と関連しているとの報告もあります。
造血幹細胞移植のハプロ移植では、DSAを保有し、MFI 値が5,000を超え、かつC1q陽性の症例が生着不全を示したとの報告があったことから、高いMFI値とC1q拘束力がある補体結合DSAは生着率の著しい低下を引き起こすことが示唆されています。
このように補体結合性抗HLA抗体は、臓器移植や造血幹細胞移植において重要な影響を及ぼします。
補体結合性抗HLA抗体は、C1qScreen を用いることで測定できます。
Luminex法は抗HLA抗体検出に優れた感度と特異性を提供します。従来の補体依存性細胞毒性(CDC)方法とは異なり、HLAの単一抗原がコーティングされたビーズとC1qScreen を使用し、LABScanシステム またはLABScan3Dシステム を用いて、補体結合性抗HLA抗体を同定します。
C1qScreenは補体の最初の成分(C1q)に結合できる抗HLA抗体を識別できるため、感度が低く特異性の低いCDC-XM法に比べて、はるかに多くの補体結合性抗HLA抗体を検出することができます。
One Lambdaでは補体結合性抗HLA抗体を簡便に測定する試薬を提供しています。
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