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HLA(ヒト白血球型抗原)技術情報用語集

プロゾーン現象

プロゾーン現象とは抗原過剰域で抗体力価が低下または偽陰性になることを意味します。
最近になってLuminex法による抗HLA抗体検査が増え、補体が関与するプロゾーン現象の報告が学会等で散見されました。Luminex法の抗HLA抗体検査はビーズ上に張り付いたHLA抗原が検体血清中の抗HLA抗体と結合後、二次抗体のPE標識抗ヒトIgGで検出する方法です。
しかし、検体中の補体成分が過剰に存在すると標識二次抗体の結合を阻害して偽陰性になります。

参考文献
蛍光ビーズ抗体検査法におけるプロゾーン様現象への補体の関与-非働化による検証―日本赤十字社九州血液センター黒田ゆかり


補体成分のC1qはIgG抗体と結合する場合には、補体結合性のある抗体2分子間のCH2に架橋するように結合します。
このため、補体成分C1qがIgG抗体のCH2に結合し、分子量の大きい補体C1が補体のFc部分を認識する二次抗体のPE標識抗ヒトIgGの結合を阻害していると考えられます。

プロゾーン現象.jpg

プロゾーン現象が疑われた場合にはEDTA処理をお勧めします。

【方法】
• 血清90 μLに0.5M EDTA(メーカー不問)2 μL添加
 EDTAの濃度を約10 mMとなるように調整する
 溶液状態のEDTAの利用を推奨
• 室温で10分間振とうしながら反応させる
• 20,000 gで10分間遠心、上清を使用

下記はEDTA添加のものと未処理の血清の図です。

プロゾーン現象(2).jpg

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