ラーニングコーナー
2017/09/06
核酸アプタマーの探索には「Dynabeads」が最適!
核酸アプタマー(Nucleic acid aptamers)は抗体に代わる分子認識が可能な物質として、医薬品を含むさまざまな分野での応用が期待されています。
「核酸アプタマー」とは
核酸アプタマーは、
- 高い特異性
- 高い親和性
- 低コスト
- 容易な品質管理
などの特長から次世代の分子標的薬として期待されています。
核酸アプタマーは、その塩基配列ではなく立体構造を利用するという点でこれまでの核酸医薬品とは決定的に異なり、その開発にはSELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential enrichment)法のような試験管内選択法が用いられます。
SELEX法(in vitro selection法ともいう)は、アミノ酸・タンパク質などに結合する核酸リガンド(アプタマー)の実体を明らかにする目的で、1990年代からおこなわれている手法です。 リガンドとなる核酸を微量精製(選別)後にPCRで増幅し、この過程を複数回繰り返すことで、親和性の高い配列をもつ核酸分子を同定します。
このリガンド選別にDynabeads™(ダイナビーズ)を用いることで、微量なサンプルから効果的にリガンドとなる核酸分子の同定が可能になります。
SELEX法の概略
- 一本鎖の核酸はその塩基配列に依存してさまざまな立体構造を形成できるため、40塩基程度のランダムな配列の一本鎖の核酸ライブラリーを用意する
- 核酸ライブラリーに標的分子を結合させたDynabeadsを加え、標的分子に結合する核酸のみを回収する
- 回収された核酸は微量なため、増幅した後、再びライブラリーとする
- 上記工程を繰り返し、標的分子に対して高い特異性と結合能を有する核酸アプタマーを得る
Dynabeadsは、標的となる抗原タンパク、レクチンなど種々のものをビオチン-アビジン相互作用あるいは化学結合を介してビーズ表面に結合することができ、液相中で標的分子と結合させることができます。反応終了後には、磁石により容易に標的分子複合体を分離できるためSELEX法に最適です。
また、リキッドハンドリングが可能な自動化装置とDynabeadsを組み合わせることで、作業を容易に自動化することが出来ます。
核酸アプタマー探索にDynabeadsが用いられた例
Jennifer A. Martin, Joshua E. Smith, Mercedes Warren, Jorge L. Chávez, Joshua A. Hagen, Nancy Kelley-Loughnane J Vis Exp. 2015; 96: 52545.
Hirotaka Minagawa, Kentaro Onodera, Hiroto Fujita, Taiichi Sakamoto, Joe Akitomi, Naoto Kaneko, Ikuo Shiratori, Masayasu Kuwahara, Katsunori Horii, Iwao Waga Sci Rep. 2017; 7: 42716.
Dynabeads磁気ビーズとは
Dynabeadsは粒子径が均一なビーズ
Dynabeadsは可磁化物質(γFe2O3 とFe3O4)が一様に分布した高分子ポリマーを機能性ポリマーで覆った、粒子径が均一なビーズです。この表面に種々の抗体を結合したビーズや、ある種の蛋白あるいはヌクレオチドなどを結合したビーズは、強力な磁石(DynaMag)を利用することにより、細胞の分離ならびにタンパクや核酸などの分離・精製をきわめて簡便な操作で、確実かつ速やかにおこなうことができ、これまでの多くのアプリケーションで利用されています。
ストレプトアビジン結合Dynabeads ―ビオチン標識 標的分子向け-
「ストレプトアビジン結合Dynabeads」シリーズは、磁性粒子であるDynabeadsの表面に、高品質のストレプトアビジンが化学的に結合しています。
ビーズ上にビオチンで標識した標的分子を固相化し、磁石を用いて簡便に分離・洗浄などがおこなえます。
発売以来20年以上にわたりさまざまな分野で利用されており、数多くの文献で採用されています。
表面活性化 Dynabeads
「表面活性化Dynabeads」は、結合したい抗体、抗原タンパク、レクチンなど種々のものを化学結合あるいは物理吸着でビーズ表面に結合できます。