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2017/10/26
ストレプトアビジン-ビオチン複合体の解離・溶出について - Dynabeads情報
- 細胞分離
アビジン-ビオチン間のアフィニティーは非常に高く、一度複合体を形成すると、pH、温度、有機溶媒や変性剤の影響を受けにくいことが知られています。
解離・溶出について
非常に高いアフィニティー
アビジン-ビオチン複合体は、既知の非共有結合性相互作用の中では最も強力です(Ka = 10-15M)。
ストレプトアビジンは、最大4個のビオチン分子に結合することができます。また、ビオチン標識は安定性が高く小型であることから、標識分子の機能性をほとんど阻害しません。 このことからストレプトアビジン-ビオチン間の相互作用は、タンパク質や核酸のさまざまな検出法および精製法において利用されてきました。
強力な相互作用は一方で、精製のアプリケーション、特にタンパク質の精製において不利な因子となります。これは、アビジン-ビオチン複合体を解離・溶出させるには、過酷な条件が求められ、この過酷な条件において目的とするタンパク質が変性することがあるためです。
アビジン-ビオチン複合体を確実に解離させるには、8Mグアニジン塩酸(pH 1.5)での処理やSDSサンプルバッファー中で煮沸をおこなうといった過酷な条件が必要です。この条件では、ビオチン標識タンパク質を非変性状態で回収することは困難です。
溶出条件下におけるビオチン-ストレプトアビジン複合体の解離(溶出)効率
下表では、いろいろな溶出条件下におけるビオチン-ストレプトアビジン複合体の解離(溶出)効率を示しています。
温度、処理時間 | 溶出バッファー | 解離(溶出)効率 |
---|---|---|
90℃、10 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 and 95% formamide | 96.80% |
90℃、5 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 and 95% formamide | 96.40% |
90℃、2 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 and 95% formamide | 96.80% |
65℃、5 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 and 95% formamide | 96.40% |
65℃、2 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 and 95% formamide | 97.90% |
37℃、10 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 and 95% formamide | 41.90% |
90℃、10 分間 | H2O | 7.30% |
90℃、10 分間 | 10 mM EDTA pH 8.2 | 52.00% |
90℃、10 分間 | 95% formamide | 35.90% |
90℃、10 分間 | 30 mM NaOAc pH 9 and 95% formamide | 95.50% |
90℃、10 分間 | 80 mM NaOAc pH 9 and 95% formamide | 97.30% |
90℃、10 分間 | 140 mM NaOAc pH 9 and 95% formamide | 95.40% |
重要
示した解離(溶出)効率はフリービオチン(ビオチン単体)であり、ビオチン化されたリガンドの場合と異なるかもしれない点に注意してください。