CHO細胞株開発の課題

細胞培養の技術革新は、新規バイオ医薬品の効率的な開発と生産に深く関わります。その結果、CHO細胞用培地の組成の変化により、より効率的かつ効果的なバイオプロセシング技術が大きく進歩しました。
現在、CHO細胞株の培養にタンパク質フリーの培地が広く利用されています。細胞株の効率的な開発とスケールアップを促進し、開発のタイムラインが短縮されることで、CHO細胞株による生産性を最大化しています。

ただし、タンパク質フリーの培地はシングルセルクローニングに必要な低い細胞密度ではCHO細胞の堅牢な増殖をサポートできません。タンパク質フリー培地中でのCHO細胞株の生存率あるいは増殖率の低さによって、希少で高生産性のクローンがトランスフェクションの直後またはその他の脆弱なステージの間に失われる可能性もあります。

CHO細胞株の開発における効率と成功率の改善には、タンパク質フリー培地にサプリメント（ClonaCell™-CHO ACF/AOF Supplement）を添加することが有効です。これにより、開発過程の重要なCHO細胞クローンの生存と増殖は顕著に向上します。

ClonaCell-CHO™ ACF Supplement

ClonaCell™-CHO ACF Supplement（商品コード: ST-03820）はクローニング効率を大幅に改善し、CHO細胞の強力な増殖を促します。組成が明確（defined）な40倍濃縮サプリメントで、液体または半固形のタンパク質フリーの培地に添加することで特に低細胞密度でのCHO細胞の生存と増殖をサポートします。
ClonaCell™-CHO ACF Supplementをタンパク質フリー培地に添加すると、組成が明確な培養条件下で10％ウシ胎児血清（FBS）含有培地に匹敵するクローニング効率が得られます（図1）。血清、動物またはヒト由来成分、加水分解物、あるいはその他の未定義成分は含まれておらず、一貫した品質でCHO細胞培養をサポートします。

特長

• 動物由来成分、加水分解物、その他の未定義成分を不含
• 低細胞密度でのCHO細胞増殖をサポート
• タンパク質フリー培地に培養条件を変えずに添加可能

推奨用途

• 限界希釈、半固体クローニング、シングルセルソーティングを用いたクローニングにおけるCHO細胞クローン化効率の向上
• トランスフェクション後のCHO細胞の生存と増殖の促進
• CHO細胞増殖のサポート

成分

組み換えタンパク質、および化学的に定義された成分を含む40倍濃縮溶液です。
組成は動物性成分フリー（ACF）で、1次製造レベルに動物由来原料を使用していません。
※ ClonaCell™-CHO ACF Supplementにはフェノールレッドが含まれています。

データ

さまざまな培地に添加した際の性能が確認されています。

図1. ClonaCell™-CHO ACF Supplementの添加または非添加時の、さまざまなタンパク質フリー培地におけるCHO細胞クローニング効率

棒グラフはトランスフェクトされていないCHO-S（左）およびCHO-K1（右）細胞のクローニング効率を示しています。クローニング効率は14日間のインキュベーション後に100個を超える細胞を含む96ウェルプレートのウェルのパーセンテージとして定義されています。培地200 µLを入れた各ウェルあたり平均1個の細胞密度で播種し、37°C、5％CO₂の条件で培養しました。全条件に6〜8 mMのL-グルタミンが含まれていました。
さまざまなタンパク質フリー培地のサプリメント添加時（水色）と非添加時（青色）、あるいはDMEM + 10% FBS（橙色）でのクローニング効率を示しています。エラーバーは各条件のtriplicateデータに基づく標準偏差を表します（duplicateデータの平均で示されているMedium 2を除く）。

ClonaCell-CHO™ AOF Supplement

ClonaCell™-CHO AOF Supplement（商品コード：ST-100-0382）は、ClonaCell™-CHO ACF Supplementと同等の性能を備えたフェノールレッドフリーの40倍濃縮サプリメントです（図2）。ClonaCell™-CHO ACF Supplementと比較して沈殿物のない培養が可能で、イメージングやクローンの可視化を改善できます。
動物由来フリー（AOF）の組成で、1次・2次製造レベルとも動物由来原材料を使用していません。

データ

ClonaCell™-CHO AOF Supplement は、ClonaCell™-CHO ACF Supplementと同等の性能が確認されています。

図2. サブクローン化したCHO-SおよびCHO-K1細胞のクローニング効率

CHO-S（左）およびCHO-K1（右）細胞を、DMEM + 10％ FBS、あるいはClonaCell™-CHO ACFまたはAOF Supplementのいずれかを含むClonaCell™-CHO CD Liquid Medium中で限界希釈することによりサブクローン化しました。 全条件に6〜8 mMのL-グルタミンが含まれていました。96ウェルプレートの各ウェルに培地200 μLを入れ、平均0.5または1個の細胞を播種しました。14日間のインキュベーション（37°C、5％ CO2）後に顕微鏡下で増殖を評価し、100個を超える細胞を含むウェルを陽性と見なしました。クローニング効率は、Hu ＆ Smith（2009）のELDA法を用いたポアソン統計によって推定しました。 データは、n = 4の独立した実験の平均 ± 1 SDとして示しています。

CHO細胞用培地 製品紹介

ClonaCell™-CHO ACF およびClonaCell™-CHO AOF Supplementは、以下のCHO細胞用タンパク質フリー培地に添加して使用することをおすすめします。

どちらの培地もタンパク質および動物性成分を含有しない化学的に定義された（CD）組成です。また、L-グルタミン、選択用化合物、フェノールレッドを含有しません。ジヒドロ葉酸レダクターゼ（DHFR）およびグルタミン合成酵素（GS）を含むさまざまな選択系に適用できます。

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