ラーニングコーナー
2020/12/16
細胞分離のためのLeukopakのサンプル処理法
- 細胞分離
下記のプロトコールでは、免疫磁気ビーズを用いたカラムフリーなEasySep™細胞分離キットを用いて、手動または自動で目的細胞を分離するために、Leukopakサンプルを処理する方法の概要を記載しています。免疫磁気ビーズを用いた細胞分離の後、未感作の (ビーズや抗体などから刺激を受けていない) 細胞はすぐにその後の実験解析にご使用頂くことが可能です。
ご希望の細胞を分離するには、幅広いラインナップから選択可能なSTEMCELL Technologies社の EasySep™ Kit をご利用ください。
併せてこちらも(https://www.stemcell.com/leukopak-processing-protocol.html)ご確認ください。
ご準備いただくもの
- Leukopak (例: ST-70500)*
- 血液バッグ分離スタンド
- トランスファーセットスパイク
- トランスファーセットチューブ
- 無菌コンテナ
- 50 mL ポリスチレンコニカルチューブ (例:Falcon® Conical Tubes, 50 mL, 商品コード:ST-38010)
- 3% Acetic Acid with Methylene Blue (3%酢酸+メチレンブルー、商品コード:ST-07060) または Trypan Blue (トリパンブルー、商品コード:ST-07050)
- 2% ウシ胎児血清入りリン酸緩衝食塩水 (PBS + 2% FBS、商品コード:ST-07905)
- ご使用の細胞分離キットの製品情報資料 (Product Information Sheet) で推奨されている培地。培地はCa++とMg++を含有していないものをご使用下さい:
◦EasySep™ Buffer
◦RoboSep™ Buffer
◦PBS (2% FBS 、1 mM EDTA含有) - Ammonium Chloride Solution (商品コード:ST-07800、オプションとして)
- 細胞分離試薬と装置:
◦EasySep™ Cell Isolation Kit (ご希望の細胞分離キット)
◦EasySep™ Magnetまたは RoboSep™ 細胞分離装置
◦細胞分離用チューブ
*製品には販売可能なエリアが限られているものがございます。
詳細についてはご購入の地域の営業担当者か株式会社ベリタス (https://www.veritastk.co.jp/contact/) までお問い合わせ下さい。
プロトコール
始める前に:leukopakとその中のサンプルは、バイオセーフティキャビネット内で無菌的にお取り扱いください。
パート I: Leukopakのサンプルを無菌培養容器へ移動
- Leukopak内のサンプルを無菌コンテナに移すために、leukopakを分離スタンドに置き、バッグのポートを開けてトランスファーセットスパイクを差し込みます。
- バッグに加圧するために分離スタンドの板を閉めます。
- バルブを開け、leukopak内のサンプルをトランスファーセットチューブによって無菌コンテナに移します。分離スタンドをお持ちでない場合には(他の方法で)バッグに加圧するか、重力によってバッグ内のサンプルを流し出して下さい。
ご注意:Leukopakのバッグを希釈バッファーなどで洗浄し、バッグの中に残った細胞を回収して下さい。
パート II: Leukopakサンプルの調製
ご注意:
- 始める前に:すべての処理や洗浄の前に、Leukopakサンプルの初期細胞数のカウントをおこなって頂くことをお勧めします。そこで得られた値と洗浄後のカウントを比較し、細胞の回収率を算出することができます。
- サンプル調製後にEasySep™ Kitを使用して細胞分離をする場合には、お使いのキットの製品情報資料 (Product Information Sheet) を確認し、赤血球の溶血 (RBC lysis) やさらなる血小板除去ステップなどが必要かどうか判断して下さい。もしも細胞分離製品のプロトコルにRBC lysisや血小板除去ステップについて記載がない、または必要がない場合にはオプション 1のアウトラインに従ってleukopakサンプルを洗浄して下さい。お使いのEasySep™ 分離キットでRBC lysisや血小板除去が必要な場合には、オプション 2をご参照ください。
- ドナー間の多様性により、leukopak中の赤血球と血小板にも差異がある場合があります。オプション 1の洗浄ステップ完了後、RBC lysisや血小板除去のための洗浄がさらに必要になる場合があります(オプション 2)。
オプション 1: Leukopakサンプルの洗浄
- leukopak内のサンプルを無菌コンテナに移した後、サンプルと等量のPBS (2% FBS含有) をコンテナに添加します。
- 希釈したleukopakサンプルを、遠心用のチューブに分注します。遠心には50 mLコニカルチューブの使用をお勧めします。
- 細胞を300 x g、室温 (15-25℃) にて10分間遠心します (ブレーキはONでおこなって下さい)。
- 遠心後、細胞ペレットを崩さないように注意深く上清を除去します。
- 推奨培地をサンプルに添加して細胞を再懸濁します。この細胞を細胞数カウントに使用します。
- 必要であれば、次の手順で複数のチューブの細胞を1つのチューブにプールして下さい:
a. 細胞を少量の推奨培地に再懸濁します。
b. 再懸濁した細胞を個々の50 mLチューブから1本の50 mLチューブへと移します。できるだけ細胞のロスをなくすために、チューブは推奨培地でリンスするようにして下さい。
オプション 2: RBC Lysis と血小板除去
- leukopak内のサンプルを無菌コンテナに移した後、Ammonium Chloride Solution (塩化アンモニウム溶液) を体積比4:1 (塩化アンモニウム溶液:サンプル) でサンプルに添加します。チューブを反転させ、穏やかに混合します。
- 15分間氷上でインキュベートします。
- 細胞を500 x g、室温 (15-25℃) にて10分間遠心します (ブレーキはONでおこなって下さい)。
- 上清を除去します。
- 血小板を除去するため、次の手順で洗浄をおこないます:
a. PBS (2% FBS含有) をチューブ上限まで加えます。150 x g、室温にて10分間遠心します (ブレーキはOFFでおこなって下さい)。
b. 上清を除去します。
c. 細胞を少量の推奨培地に再懸濁します。 - さらに血小板除去が必要な場合には、次の洗浄ステップを1-2回追加でおこなって下さい:
a. 細胞を150 x g、室温にて10分間遠心します (ブレーキはOFFでおこなって下さい)。
b. 上清を除去し、少量の推奨培地で細胞を再懸濁します。
パートIII: 細胞数カウントと細胞分離用細胞懸濁液の調製
- トリパンブルーまたは3% Acetic Acid with Methylene Blue (3%酢酸+メチレンブルー)を用いて細胞数カウントをおこないます。細胞数カウントの仕方については、How to Count Cells with a Hemocytometer の中に記載されたプロトコールを参照して下さい。
- 次の等式を使用し、目的の細胞濃度に再懸濁するために必要な細胞懸濁液の総ボリュームを算出します:
必要な総ボリューム = サンプルの細胞濃度 x サンプルのボリューム / 目的の最終細胞濃度
例:
目的の最終細胞濃度= 5 x 10⁷ cells/mL(推奨培地中の濃度)
サンプルの細胞濃度 = 18,250,000 cells/mL
サンプルのボリューム = 40 mL
(18,250,000 cells/mL x 40 mL) / 5 x 10⁷ cells/mL = 14.6 mL
必要な細胞懸濁液の総ボリュームは14.6 mL. - 目的の細胞濃度にするために必要な細胞懸濁液の総ボリュームを決定した後、細胞を500 x g、室温 (15-25℃) にて10分間遠心します (ブレーキはONでおこなって下さい)。
- 上清を除去し、上記ステップ2で算出した量の培地を添加して細胞を再懸濁します。
ご注意:この後、EasySep™による手動、またはRoboSep™による自動での細胞分離をおこなう場合には細胞をEasySep™ Buffer、RoboSep™ Buffer、またはPBS (2% FBS、 1mM EDTA含有) で細胞を再懸濁して下さい。培地はCa++とMg++を含まないものをご使用ください。
パートIV: EasySep™またはRoboSep™を用いた細胞分離
オプション 1: 手動での細胞分離
- ご使用のEasySep™ kitの製品情報資料(Product Information Sheet)に従っておこなって下さい。
オプション 2: RoboSep™-Sを用いた自動での細胞分離
- EasySep™の製品情報資料に指示された細胞濃度の細胞懸濁液を14 mL (17 x 95 mm) の丸底ポリスチレンチューブに入れます。
- RoboSep™-Sのプロトコールを選択し、画面上の指示に従ってサンプル、試薬、チップのロードをおこないます。
- ‘Run’ を押してプロトコールを開始します。
- プロトコールの処理完了後、回転式作業台のアンロードをおこないます。分離された細胞はすぐにご使用可能です。