ラーニングコーナー
2013/11/06
週末の培地交換が不要に!ヒトES/iPS細胞メンテナンスのための新プロトコール
- 用途別細胞培養
STEMCELL Technologies社の「mTeSR™1」と「TeSR™-E8™」は、ヒトES細胞/iPS細胞(ヒト多能性幹細胞)を維持培養するための世界的標準培地です。「mTeSR1」を用いた標準プロトコールでは、細胞の維持培養のために毎日の培地交換が推奨されており、休日にも培地の交換が必要でした。改善策として培地量を倍にすることにより、1継代あたり1日だけ培地交換をしなくてもいい日を設けられますが、この方法でもやはり週末に1日は作業をしなくてはいけないという制約があります。
「ウィークエンドフリープロトコール」について
STEMCELL Technologies社では、週末の2日間を培地交換する事なく細胞が維持培養できるプロトコール(「ウィークエンドフリープロトコール」)を提供しております。
実施するための重要なポイントはコロニーのサイズと密度を最適化する点にあり、細胞は従来と同等の品質を保つことが可能です。
本プロトコールを適用できる培地は、STEMCELL Technologies社の「mTeSR1」および「TeSR-E8」となっており、基底膜/マトリックスにはCorning Matrigel hESC-qualified matrix、あるいは組成の明確なVitronectin XFがご利用いただけます。
「ウィークエンドフリー」プロトコールの主な特長
- 週に1回、金曜日に継代
- 土曜・日曜は培地交換が不要
- mTeSR1およびTeSR-E8でバリデート済み
- 基底膜にはMatrigelおよびVitronectin XFが利用可能
「ウィークエンドフリー」プロトコールの概要
※リンク先のプロトコールでは、旧来品の製品コードが記述されております。
データ例
コロニーの形態
A・B:
「ウィークエンドフリー」プロトコール(オレンジ)または通常のプロトコール(グレー)で培養したH1 またはH9細胞(●印)、WLS-1C(▲印)およびWLS-4D1(◆印)に対し、継代毎での未分化な細胞コロニーの割合を目視で観察したものです。
A - mTeSR1、B - TeSR-E8で培養。
C・D:
10継代後に未分化コロニーの形態を観察したところ、従来法と同様に観察されました。
C - mTeSR1、D - TeSR-E8で培養。
未分化マーカーの発現
10継代後に未分化幹細胞マーカーの発現を確認したところ、高い発現を維持していることが確認されました。
A・C:mTeSR1、B・D:TeSR-E8で培養。
増殖率の比較
ウィークエンドフリープロトコール(オレンジ)は、従来のプロトコール(グレー)と比較して同等の増殖効率を示しました。
A:mTeSR1、B:TeSR-E8で培養。