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2024/05/15
神経疾患・神経炎症の研究に役立つ培養情報
- 用途別細胞培養
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アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患や、神経炎症の研究に役立つ細胞培養の情報をご紹介します。ニューロン‐グリア共培養のプロトコルや、研究発表ポスター、研究者による解説動画(ウェビナー)などをご覧ください。
なお、掲載した情報は一部です。さらに詳しく知りたい方は冊子「神経研究のための培養ガイドブック」もご参照ください:
「STEMdiff™分化培地」について
本稿で紹介するプロトコルは、STEMCELL Technologies 社のSTEMdiff™分化培地を使用しています。
STEMdiff™分化培地は、さまざまなヒト多能性幹細胞(human pluripotent stem cell;hPSC)株から高品質なヒト神経モデルをin vitroで作製できる利点を備えています。多様なニューロンやグリア細胞への再現性の高い分化、および3 次元の均一なオルガノイドの樹立をサポートし、分化後の共培養にも使用できます。
アルツハイマー病研究
アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease)は代表的な神経変性疾患のひとつです。アルツハイマー病患者の脳に見られる主な病理組織学的な所見は、アミロイド斑(アミロイドβの蓄積)、神経原線維濃縮体(タウタンパク質の過剰リン酸化)、神経炎症(中枢神経系の炎症反応)、血管機能不全に分類できます。アルツハイマー病の神経炎症には、脳のグリア細胞であるアストロサイトとミクログリアが重要な役割を果たすと考えられており、これらの細胞におけるアルツハイマー病関連遺伝子の発現によっても裏付けられています(Essayan-Perez S, et al (2019). Neurobiol Dis. 130:104503.)。
プロトコル
STEMdiff™分化培地を使用した、ニューロン‐グリア共培養のプロトコルです。
概要 | 画像をクリックすると拡大表示できます |
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前脳ニューロンとアストロサイトの共培養 |
詳細を見る(STEMCELL Technologies社サイトへリンク) |
前脳ニューロンとミクログリアの共培養 |
詳細を見る(STEMCELL Technologies社サイトへリンク) |
前脳ニューロン、アストロサイトとミクログリアの3 種共培養 |
詳細を見る(STEMCELL Technologies社サイトへリンク) |
脳オルガノイドとミクログリアの共培養 |
その他の技術情報
アルツハイマー病研究に関わるトピックを解説した動画(ウェビナー)、および研究に関するインタビュー記事です。
概要 | 画像をクリックするとリンクが開きます |
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ヒト多能性幹細胞(hPSC)由来ミクログリアの分化と特徴 |
再生時間 31:46 |
TREM2 遺伝子欠損ミクログリアによるアルツハイマー病リスクのモデル化 |
再生時間 56:09 |
アルツハイマー病における神経ネットワーク機能と接続性 |
パーキンソン病研究
パーキンソン病(Parkinson’s Disease)はアルツハイマー病と同様に代表的な神経変性疾患です。パーキンソン病患者は特徴的な運動症状と同時に、頻繁に認知および精神症状を示します。細胞レベルでは、神経伝達物質放出に関わるα -シヌクレインタンパク質の凝集と、その蓄積によるレビー小体(細胞内封入体)の形成が見られます。これらの病態は中脳の黒質にあるドーパミン作動性(dopaminergic)ニューロンを変性させ、ドーパミン放出が大きく損なわれることで症状が現れます。一方、脳のグリア細胞であるミクログリアとアストロサイトが神経炎症(中枢神経系の炎症反応)を介して神経変性に影響する非細胞自律効果も知られています(Galet B, et al. (2020). Front Neurol. 11:1005.)。
プロトコル
STEMdiff™分化培地を使用した、ニューロン‐グリア共培養のプロトコルです。
概要 | 画像をクリックすると拡大表示できます |
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中脳- 線条体アセンブロイドの樹立 |
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中脳オルガノイドとミクログリアの共培養 |
その他の技術情報
パーキンソン病に関わる研究発表ポスター、および研究に関するインタビューです。
概要 | 画像をクリックするとリンクが開きます |
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中脳ニューロンとミクログリアの共培養 |
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中脳ニューロンとアストロサイトの共培養 |
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パーキンソン病の臨床試験、ヒト皮質オルガノイドのラット脳への移植 |
その他 神経炎症(ALS、自閉症)研究
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は、運動ニューロン(motor neuron)の消失によって随意筋の麻痺が進行する神経変性疾患で、多くの患者は呼吸不全で死亡します。運動ニューロンの変性に伴い、中枢神経系で貪食を担うミクログリアが活性化し、アストロサイトが増殖することも報告されています(Liu E, et al (2021). Front Mol Neurosci. 14:767041)。
自閉症あるいは自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder)は、コミュニケーションや社会行動の欠陥を特徴とする神経発達障害です。自閉症の病因は解明されていませんが、ミクログリアとアストロサイトが神経炎症などを介して重要な役割を果たす可能性が示唆されています(Xiong Y, et al. (2023) Front Neurosci. 17:1125428.)。
プロトコル
STEMdiff™分化培地を使用した、ニューロン‐グリア共培養のプロトコルです。
概要 | 画像をクリックすると拡大表示できます |
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運動ニューロンとミクログリアの共培養 |
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運動ニューロンと筋管の共培養 |
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脳オルガノイドとミクログリアの共培養 |
「アルツハイマー病研究」内を参照 |
前脳ニューロンとアストロサイトの共培養 |
「アルツハイマー病研究」内を参照 |
前脳ニューロンとミクログリアの共培養 |
「アルツハイマー病研究」内を参照 |
前脳ニューロン、アストロサイトとミクログリアの3 種共培養 |
「アルツハイマー病研究」内を参照 |
その他の技術情報
神経炎症研究に関わるトピックを解説した動画(ウェビナー)、および研究発表ポスターです。
概要 | 画像をクリックするとリンクが開きます |
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ヒト多能性幹細胞(hPSC)由来ミクログリアの分化と特徴 |
「アルツハイマー病研究」内を参照 |
脳オルガノイドを用いた自閉スペクトラム症モデル |
再生時間 18:44 |
運動ニューロンとミクログリアまたは筋管の共培養 |
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前脳ニューロン、アストロサイト、ミクログリアの3 種共培養による損傷修復モデル |
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