ラーニングコーナー

2024/07/01

腸オルガノイド研究に役立つ技術情報

用途別細胞培養

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腸上皮は急速に再生する組織で、4～5日ごとに細胞が完全に入れ替わります。腸管幹細胞は、腸の陰窩にあるニッチで特定のシグナルを受けて自己複製と腸上皮再生を担っており、このニッチシグナルの理解が腸オルガノイド培養条件の開発につながりました。
腸オルガノイドは、in vivo の腸組織と生理学的に関連した特徴を多く組み込んだ、3 次元（3D）の in vitro 組織モデルです。腸オルガノイドには機能性内腔を囲む極性化した上皮層が含まれており、腸上皮のすべての細胞型がin vivo の比率と相対的空間配置を再現して存在します。
腸オルガノイドは、小腸や結腸の組織（成体幹細胞）またはヒト多能性幹細胞（hPSC）から樹立でき、後者には腸上皮に加え腸管幹細胞ニッチシグナル伝達に関連する間葉系細胞の区画も組み込まれます。

本稿では、培養のプロトコルやアプリケーションなど、腸オルガノイド研究に役立つ技術資料を紹介します。
なお、掲載した情報は一部です。さらに詳しく知りたい方は冊子「オルガノイド培養ハンドブック」もご参照ください：

腸オルガノイドの基礎知識
腸オルガノイドのアプリケーション
腸オルガノイドのプロトコル
受託アッセイサービス
製品リスト
関連製品

腸オルガノイドの基礎知識

腸オルガノイドの理解と研究全般に役立つ情報をご紹介します。

概要	画像をクリックするとリンクが開きます
腸オルガノイド培養プロトコル集（電子書籍） Proven Protocols for Intestinal Organoid Culture 腸オルガノイド培養の実用的なe-book です。IntestiCult™を用いた腸オルガノイドの培養や、腸オルガノイドのさまざまなアッセイの方法を学べます。（e-book のダウンロードにはSTEMCELL Technologies 社のサイトにて登録が必要です。）
腸陰窩（ポスター） SnapShot: The Intestinal Crypt 腸上皮の陰窩 - 絨毛構造と、腸管幹細胞ニッチのシグナル伝達についてまとめました。
ヒト腸オルガノイドについて学ぶ（オンライン講習） On-Demand Human Intestinal Organoid Course ヒト腸オルガノイド培養の基礎と、研究への応用について専門家が解説するオンデマンドの配信動画です。（視聴にはSTEMCELL Technologies 社のサイトにて登録が必要です。）
マウス腸オルガノイドについて学ぶ（オンライン講習） On-Demand Mouse Intestinal Organoid Course マウス腸オルガノイド培養の詳細な手順や、応用について専門家が解説するオンデマンドの配信動画です。（視聴にはSTEMCELL Technologies 社のサイトにて登録が必要です。）

腸オルガノイドのアプリケーション

腸オルガノイドのさまざまな研究への応用例をご紹介します。

概要	画像をクリックするとリンクが開きます
創薬における腸オルガノイド培養のアプリケーション（ウェビナー） Applications of Human Intestinal Organoid Cultures in Drug Discovery - Danny Leung & Dr. Victoria Conlin ヒト腸オルガノイドと腸上皮の類似点や、腸オルガノイドの薬物スクリーニングへの利用について紹介します。（視聴にはSTEMCELL Technologies 社のサイトにて登録が必要です。）	再生時間 56:20
腸オルガノイド由来単層と自然免疫細胞の共培養モデル（ウェビナー） Dissecting the Innate Immune Response in Human Intestinal Organoid Models - Dr. Nicholas Zachos ヒト腸オルガノイドから作製した単層培養と自然免疫細胞の共培養によって、腸管病原体への宿主免疫応答を再現する研究を紹介します。（視聴にはSTEMCELL Technologies 社のサイトにて登録が必要です。）	再生時間 55:56
消化管毒性スクリーニングのためのヒト腸オルガノイド培養系（学会発表ポスター） Human Intestinal Organoid Culture System for Drug-Induced Gastrointestinal Toxicity Screening 前臨床における薬剤誘発性の消化管毒性評価に利用可能な、96 ウェルプレートフォーマットで行う腸オルガノイドのアッセイ（生存能、バリア機能）を紹介します。
ヒト生検由来腸管オルガノイドを用いた単層膜培養系の確立 - 薬物動態評価系への応用を見据えて（記事：研究者の声） - 山下智起先生（大阪大学大学院薬学研究科） IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) で樹立したヒト生検由来腸管オルガノイドから単層膜（オルガノイド単層膜）を培養して解析しました。オルガノイド単層膜は、Caco-2細胞株などの従来のモデルに代わる薬物動態評価系として有用なことが示唆されました。

腸オルガノイドのプロトコル

腸オルガノイドの培養と解析に役立つプロトコルをご紹介します。

概要	画像をクリックするとリンクが開きます
ヒト腸オルガノイドの浮遊培養（プロトコル） Passaging Intestinal Organoids into Suspension Culture Using IntestiCult™ IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) を用いてマトリゲルドーム中で作製したヒト腸オルガノイドを継代し、大量増殖に有効な浮遊培養に移行します。
ヒト腸オルガノイドによる薬剤開発向けの毒性評価（プロトコル） Toxicity Testing for Drug Development Using Human Intestinal Organoids and IntestiCult™ IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) で作製したヒト腸オルガノイドを用いて薬物の毒性評価を行います。
ヒト腸オルガノイド由来単層をもちいたバリア透過性アッセイ（プロトコル） Barrier Permeability Assay Using Human Intestinal Organoid-Derived Monolayers IntestiCult™ Organoid Differentiation Medium (Human) でヒト腸オルガノイドから作製した単層培養を用いて、腸管バリアの透過機能を評価します。新規の治療標的や宿主病原体相互作用などの研究に有用なアッセイです。
大腸がん由来のオルガノイド作製（プロトコル） Culturing Cancer-Derived Organoids Using IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) IntestiCult™ OGM Human Basal Medium（IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) に含まれる基礎培地）を用いて、Wnt非依存性の大腸（結腸）癌の生検から腸オルガノイドを培養します。
大腸がん由来オルガノイドとT細胞の共培養（プロトコル） Co-Culturing Colorectal Organoids and T Cells using IntestiCult™ and ImmunoCult™ 大腸（結腸）癌の患者由来オルガノイドとT細胞を、IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) および ImmunoCult™-XF T Cell Expansion Medium を用いて共培養します。オルガノイド - T細胞の共培養系は、新規のがん免疫療法を評価する実用的なin vitro モデルとして注目されています。
ヒト多能性幹細胞由来小腸オルガノイドの単層培養（プロトコル） How to Generate Monolayers from hPSC-Derived Organoids Using IntestiCult™ ヒト多能性幹細胞（hPSC）からSTEMdiff™ Intestinal Organoid Kitで作製した小腸オルガノイドを、IntestiCult™ Organoid Differentiation Medium (Human) を用いて単層培養に移行します。
ヒト多能性幹細胞由来大腸オルガノイドの作製（プロトコル） How to Differentiate hiPSCs into Colonic Organoids Using STEMdiff™ STEMdiff™ Intestinal Organoid Kitと大腸オルガノイド専用培地を併用して、ヒト多能性幹細胞（hPSC）から大腸オルガノイドを作製します。同じSTEMdiff™ Intestinal Organoid Kitで作製した小腸オルガノイドとは明確に異なる特徴を示します。
マウス腸オルガノイドの作製（記事：ラーニングコーナー）マウスの小腸または結腸から分離した陰窩から、IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Mouse)を用いて腸オルガノイドを培養、継代および凍結保存します。
マウス腸オルガノイド由来の単層培養（プロトコル） How to Generate Mouse Intestinal Organoid-Derived Monolayers Using IntestiCult™ IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Mouse)で作製したマウス腸オルガノイドを、IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) に移行して単層培養します。

受託アッセイサービス

STEMCELL Technologies社は、IntestiCultの開発で培われた専門知識に基づき、腸オルガノイドのアッセイサービス (Contract Assay Services) を提供しています。

アッセイの流れ

STEMCELL Technologies社のオルガノイドを利用した受託アッセイサービスをご希望の方はベリタスまでお問い合わせください。
お問い合わせはこちら＞＞

製品リスト

ヒト腸組織からの腸オルガノイド培養

商品コード	商品名	梱包単位	オルガノイド生成数^(§)	備考
ST-06010	IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human)^(*)	100 mL Kit	約 3,000個	樹立・増殖用
ST-100-0340	IntestiCult™-SF Organoid Growth Medium (Human)^(*)	100 mL	約 4,000個	樹立・増殖用 (無血清)
ST-100-0214	IntestiCult™ Organoid Differentiation Medium (Human)^(*)	Kit	約 4,500個	分化・単層培養用

ヒト多能性幹細胞からの腸オルガノイド培養

商品コード	商品名	梱包単位	オルガノイド生成数^(§)	備考
ST-05140	STEMdiff™ Intestinal Organoid Kit	Kit	約 3,000個	樹立・増殖用
ST-05145	STEMdiff™ Intestinal Organoid Growth Medium	Kit	約 8,000個	増殖用 (ST-05140の構成品)

マウス腸組織からの腸オルガノイド培養

商品コード	商品名	梱包単位	オルガノイド生成数^(§)	備考
ST-06005	IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Mouse)^(*)	100 mL Kit	約 4,000個	樹立・増殖用
ST-06010	IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human)^(*)	100 mL Kit	ー	単層培養用^(†)
ST-70931	Mouse Intestinal Organoids	200 Organoids	ー	凍結オルガノイド
ST-00261	Intestinal Organoid Virtual Training^(*)	ー	約 4,000個	樹立・増殖用の試薬類を含有

^(§) オルガノイドの生成数は目安です。ドナー間またはマウス系統間で生成数に違いが生じる可能性があります。プライマリー組織の消化手順、細胞生存率も、結果として生じるオルガノイド形成効率に影響を与える可能性があります。

^(*) Hubrecht Organoid Technology (HUB) と共同開発した商品です。商業目的で使用する場合は、HUB (www.huborganoids.nl/) へご連絡の上、商用ライセンスまたはHUBとのライセンスに関する説明を受けてください。

^(†) 単層培養のプロトコルは、上記の「マウス腸オルガノイド由来の単層培養（プロトコル）」を参照してください。