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2023/07/10

IntestiCult:「7日以内で」3次元モデルのヒト腸管オルガノイド形成・維持用培地

  • 用途別細胞培養

「IntestiCult™による腸内ウイルス感染の研究」最新情報

Matrigelを利用した3次元(3D)培養技術によりin vitroで作製された「ミニ」臓器(脳、肝臓、胃、心臓、腎臓など)ともいわれるオルガノイドは、疾患プロセスのin vitroモデリングおよび薬物試験等、広範囲の用途に利用されています。最近、in vitroで作製した肝臓および小腸オルガノイドのマウスへの移植が成功したことから、「ミニ」臓器は生体内でも正常に機能することが示唆されました。

腸管オルガノイドは、腸上皮の発生と機能の研究、腸疾患モデル、標的低分子スクリーニング、さらには腸管上皮幹細胞の特性や、再生医療の研究など、様々なアプリケーションにご利用いただけます。STEMCELL Technologies社の「IntestiCult™」培地を用いると、腸陰窩(intestinal crypts)から3D腸管オルガノイドを7日間で得ることができます。

本稿では、ヒト用「IntestiCult™」についてご紹介します。

3D腸管オルガノイドのメリットとは

腸管オルガノイドの何が優れているか

  • 2D培養に比べて、生体組織の複雑な微小構造および機能を模倣します
  • 動物モデルに比べて、コストを削減し、時間を短縮します
  • 腸内細菌や他組織との共培養で、生体内の複雑な相互作用の研究モデルを形成できます
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ヒト用「IntestiCult」について

IntestiCult Organoid Growth Medium (Human) (製品コード:ST-06010)は、ヒト腸陰窩(intestinal crypts) に由来する腸オルガノイドを効率よく形成し、長期培養するための完全培地です。腸管オルガノイドは幹細胞ニッチ環境に類似する細胞培養条件で培養できます。LGR5+ 腸管幹細胞を速く増殖させ、ヒト腸管オルガノイドの効率的な継代培養が可能になります。

IntestiCultの特長

  • 短時間: 安定して継代可能な腸管オルガノイドを7日以内で形成できます
  • コンプリートキット: サイトカイン・成長因子の添加は不要です
  • EASY-TO-USE: 簡易なin vitro培養系、最適化されたシンプルなプロトコールを提供します
  • 機能性のオルガノイド: Forskolin Swelling Assayで機能的な評価が可能 *

  * 以下のデータ紹介をご参照ください

データ紹介

効率的な腸オルガノイドの成長

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IntestiCult Organoid Growth Medium (Human) による、ヒト結腸生検サンプルから分離した初代オルガノイドの増殖培養。

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ヒト腸オルガノイド継代培養時の成長率。
初代P1:48.8 ± 4.5%;P2:85.4 ± 1.4%;P3:96.5 ± 3.9% (n = 3 - 4) 。

 

腸管上皮マーカータンパク質の局在化

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IntestiCult Organoid Growth Medium (Human) で培養したヒト腸オルガノイドの上皮層には、活発に増殖する前駆細胞(Ki67+)が存在する(免疫染色像)。

Forskolin Swelling Assayで機能的な評価が可能

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ヒト腸オルガノイドを(A)5 μMフォルスコリンまたは(B)DMSOで処置し、オルガノイドの面積を0分および120分で測定した。フォルスコリン処理オルガノイドの面積は、DMSO処置オルガノイド(7.5 ± 0.8 %)と比べて増加(33.5 ± 3.8 %, n = 3)した。

 

IntestiCultによる腸内ウイルス感染の研究

SARS-CoV-2は主に呼吸器系を標的とし、影響を与えますが、他のさまざまなコロナウイルス種が、人間と哺乳類の腸上皮へ感染するためのベクターを持っていることが知られています。 腸オルガノイドとオルガノイド由来の単層培養は、in vivoの腸上皮によく似た特性を示し、腸内ウイルス感染の貴重なモデルシステムになります。 IntestiCult培地は、組織に由来する幹細胞集団を維持し、腸のオルガノイド培養の迅速な拡大培養と長期の維持培養を可能としております。

詳しくはこちらもご覧ください:
COVID-19研究ツール オルガノイド研究

IntestiCultを用いたコロナウィルス研究に関する参考文献

  • Li L et al. (2019) Porcine intestinal enteroids: a new model for studying enteric coronavirus porcine epidemic diarrhea virus infection and the host innate response. J Virol 93(5): e01682–18.
  • Li L et al. (2019) IFN-lambda 3 mediates antiviral protection against porcine epidemic diarrhea virus by inducing a distinct antiviral transcript profile in porcine intestinal epithelia. Front Immunol 10(2394).

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