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ラーニングコーナー

2022/11/28

よくある質問 ~凍結iPS細胞~

  • 用途別細胞培養
  • 細胞・生体試料

STEMCELL Technologies社のiPS細胞(iPSC)株について、よくある質問とその回答をまとめました。
関連する技術資料もあわせてご紹介しています。

本稿の内容は、STEMCELL Technologies社ウェブサイトの記事 Frequently Asked Questions on iPSCs  に基づいています。

一般的な質問

一般的なよくある質問にお答えします。
質問をクリックすると回答が表示されます。
iPS細胞の使用が有用な例を教えてください。患者ドナーの組織を摘出できない疾患(例:神経変性疾患や精神疾患患者の脳・脊髄、心筋症患者の心臓)は、in vitroでの研究が困難です。iPS細胞は自己再生能と3胚葉(外・中・内胚葉)に由来する細胞への分化能をもちます。このため、ヒトiPS細胞は特定の変異や疾患を持つ患者の遺伝的多様性を保持したニューロンや心筋細胞など、生体から直接得られない細胞を無限に作製できます。 iPS細胞は疾患の分子メカニズム、細胞治療および遺伝子治療への研究や、創薬プロセスにおける毒性(安全性)評価に使用可能です。

【関連情報】
iPS細胞の維持培養から疾患モデルまで ―iPS細胞を用いた応用研究の進め方―

STEMCELL Technologies社のヒトiPS細胞株はなぜ研究に適しているのでしょうか?STEMCELL Technologies社のヒトiPS細胞は、ドナーの同意得た上で施設内倫理委員会(IRB)から学術・商業研究用としての承認を受けています。このため、研究用として安心してご利用いただけます。STEMCELL Technologies社のiPS細胞は業界の基準(またはそれ以上に厳格)に沿った品質管理下で製造され、詳細は各ロットの検査証明書(CoA)に記載されています。また、情報の透明性を向上させるため、ヒト多能性幹細胞(hPSC)の主要データベースのひとつ「hPSCreg®」に登録されています。データベースの登録により細胞株の情報が可視化され、細胞株の特性やデータの妥当性などを他の登録株と比較できます。
STEMCELL社製のiPS細胞株を使用すれば、細胞培養システムの完全なワークフローを確立できます。このiPS細胞株はTeSR™ 培地での長期的な維持・拡大培養に最適化されています。さらに、各種STEMdiff™ 培地 でさまざまな系統の細胞型やオルガノイドへ分化可能で、幅広い研究アプリケーションに幅広くご利用いただけます。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞株はどのように作製されていますか?STEMCELL Technologies社では独自の技術で末梢血単核細胞(PBMC:ドナーによる同意取得済) をリプログラミングし、転写因子をゲノムに組み込ませずに(ゼロフットプリント)iPS細胞株を作製しています。
転写因子がゲノムに組み込まれないiPS細胞株の作製時に多数の初期iPS細胞クローンを選択して保管し、各クローンをmTeSR™ Plus および ReLeSR™ で拡大培養してゲノムの完全性と細胞の多能性を分析します。さらに性能の良いクローンに対して、リプログラミングベクターがゲノム内に残っていないことを確認します。クローンは20回の継代を経た後にマスターセルバンク製造工程に移り、広範にわたり品質管理されます。ワーキングセルバンクとそれに由来する市販バイアルでは、さまざまな特性(「品質管理に関してよくある質問」の第3項目を参照)を評価しています。iPS細胞はバンク化し、CryoStor® CS10中に-196℃で長期間凍結保存します。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞株はどのように命名されていますか?STEMCELL Technologies社では、ヒト多能性幹細胞(hPSC)株の命名に関する明確なガイドラインがないことから細胞株の名称が重複するなど混乱していると考えています。そのようなことを避けるため、STEMCELL Technologied社ではhPSCreg®が定めた標準化命名法(下表)に基づいています。これにより、登録済みの細胞株の明確な識別、サブクローンの追跡、および異なる細胞株の特定のドナーへの帰属が可能となります。

構成する要素 桁数 備考
頭字語 2 - 6 XXXXXX hPSCref®による割り当て
細胞株のタイプ 1 e または i e: ES細胞
i: iPS細胞
ドナーID 3 001 英数字(最大46,655ドナー)
クローン番号 2 - 3 -A ハイフンとアルファベット(最大702株/ドナー)
サブクローン識別子
(該当する場合のみ)
0 - 3 -1 ハイフンと英数字(最大1,330サブクローン/ドナー)
合計 8 - 16

命名例: SCTi003-A
説明: STEMCELL Technologies iPSC Donor 3 Clone A

【参考資料】
1. Kurtz A et al. (2018) A standard nomenclature for referencing and authentication of pluripotent stem cells. Stem Cell Reports 10(1): 1–6.
2. Luong MX et al. (2011) A call for standardized naming and reporting of human ESC and iPSC lines. Cell Stem Cell. 8(4): 357–9


STEMCELL Technologies社のiPS細胞株の特徴を教えてください。STEMCELL Technologies社では、iPS細胞の製造工程の全段階でさまざまな品質管理試験を実施しています。マスターセルバンクは、バッチ間の同一性、外来因子、ゲノムの完全性と安定性、生存率、未分化状態、および多能性を検証しています。詳細は本稿の「品質管理に関してよくある質問」をご参照ください。
ワーキングセルバンクと市販バイアルでは、特性を解析する項目を検証しています。特定のiPS細胞株の品質管理(QC)の詳細は、ロット固有の検査証明書(CoA)をご参照ください。詳細は本稿の「品質管理に関してよくある質問」をご参照ください。

STEMCELL Technologies社から特定のiPS細胞株のクローンを追加で入手できますか?はい、iPS細胞株のクローンを追加で入手できる場合があります。ただし、代替クローンは市販のiPS細胞株ほど特徴付けられていないため、継代数が少ないものに限り入手可能なことがあります。iPS細胞株の代替クローンの入手を検討される方は、弊社へお問い合わせください。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞株の使用にはライセンスが必要でしょうか? はい、ライセンスが必要です。STEMCELL Technologies社の iPS細胞株のご利用にあたり、購入者は標準ライセンス契約に同意した上で、STEMCELL Technologies社のiPS細胞株を使用するための年間ライセンス料をお支払いください。非営利団体(大学など)に所属する方は料金免除の対象となることがあります。
標準ライセンス契約、年間ライセンス料、または料金免除資格については、弊社にお問い合わせください。また、本稿の「ライセンスと利用に関してよくある質問」もご参照ください。

STEMCELL Technologies社からどのようにiPS細胞実験をサポートしてもらえるでしょうか? STEMCELL Technologies社では必要な結果が得られるように、開発した製品を通してiPS細胞実験をサポートします。
また、安心して実験できるように、最新のiPS細胞技術とプロトコルを学べるトレーニングプログラムもあります。さらに、STEMCELL Technologies社の科学者や教育者による、特定の要望に合わせてカスタマイズできるバーチャルまたはハンズオンの技術トレーニングプログラムもご利用できます。

トレーニングプログラムの詳細(STEMCELL Technologies社ウェブサイト)

ドナー情報に関してよくある質問

ドナー情報に関してよくある質問にお答えします。
質問をクリックすると回答が表示されます。
STEMCELL Technologies社ではどのようにドナーの人口統計情報を収集していますか? STEMCELL Technologies社は、施設内倫理委員会(IRB)、米国食品医薬品局(FDA)、米国保健福祉省(HHS)、および同等の規制当局のいずれかで承認された同意書と所定の手続きを経た上で、人口統計情報を収集しています。サンプルは米国連邦および該当する州・地方の法律・規則・ガイドラインに従い採取しています。
STEMCELL Technologies社の品質保証、品質管理、および規制関連の各部門では、細胞を円滑に入手するために必要な書類をご用意いたします。
詳細は弊社へお問い合わせください。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞株について、どのようなドナー情報を入手できますか。また、データを出す方法も教えてください。 各iPS細胞株のドナー情報は、ドナーごとに下記の属性を特定した上で提供しています。この情報は製品情報シート(PIS)で確認できます。ClinVar および祖先レポートなど詳細な分析結果は、検査証明書(CoA)より確認できます。
下表に掲載以外のドナー属性が必要な方は、弊社へお問い合わせください。

ドナー属性 データ決定方法
年齢 自己申告
性別  核型 
既往症 自己申告
人種、民族 自己申告
祖先 EthSEQで解析した全エクソソームの配列データ 
身長  採取時に測定 
体重  採取時に測定 
BMI  身長・体重測定時から算出 
血液型  NGSによるABO/Rhタイピング 
HLAタイプ  必要な解像度にあわせてNGS、SBT、SSOまたはSSPでタイピング 
遺伝子多型  ClinVarで解析した全エクソソームの配列データ 
喫煙 自己申告 


STEMCELL Technologies社における「健常ドナー」の定義を教えてください。 まず、18 歳以上、体重 120 ポンド(約54 kg)以上、体格指数(BMI) 18.5~24.9で、喫煙習慣がなく健康であることが必須です。
STEMCELL社における「健常ドナー」は、既往症、血液疾患、またはその他の健康上の懸念のあるドナーを除外することを目的とした問診票を通して、事前にスクリーニングされます。ドナーに対し感染症検査(HIV-1/2、HBV、HCV)を実施し、既往症と健康状態は自己申告します。
サンプルの採取日には、既往症と現在の健康状態に関する問診を受けます。体調不良や発熱があればその日の採取を見送ります。白血球数、血小板レベル、ヘマトクリット、血圧を含む血液検査も実施し、基準値から外れたら対象外とします。
ドナーの問診と基準値は、サンプルを採取する施設の医療管理者が監修しています。

STEMCELL Technologies社における祖先(Ancestry)、人種(Race)、民族(Ethnicity)の定義を教えてください。 祖先(Ancestry):
その人の祖先の地理的な起源を指します。
たとえば、ヨーロッパ、アフリカ、南アジア、東アジアなどです。
遺伝学的に計算してドナーの属性を定義しています。

人種(Race):
集団や文化の社会的重要性を考慮した身体的な違いを指します。
たとえば、アボリジニ、アフリカ系アメリカ人(または黒人)、アジア人、ヨーロッパ系アメリカ人(または白人)、ネイティブ・アメリカン、ネイティブ・ハワイアン、マオリなどです。
STEMCELL Technologies社では、ドナーが自己申告した内容を反映しています。

民族(Ethnicity):
言語、祖先、慣習、信仰などの共通の文化的な特徴を指します。
たとえば、ヒスパニック系、ラテン系などです。
STEMCELL Technologies社では、ドナーが自己申告した内容を反映しています。

STEMCELL Technologies社ではなぜドナーの祖先を分析するのでしょうか? がんゲノムのトランスレーショナルリサーチや精密医療の分野では、生殖細胞および体細胞の変異を調べる目的で、全エクソーム配列決定(WES)によるヒトゲノムのコーディング領域を解析することが一般的になりつつあります。遺伝的変異による実験結果の影響を考慮する上で、ドナー祖先の特定が欠かせません。

STEMCELL Technologies社ではどのようにiPS細胞株のドナー祖先を算出していますか? iPS細胞のドナーの祖先は、祖先集団の識別に使われる「EthSEQ」というデータベースをもとに、各iPS細胞株の全エクソーム配列(WES)データから算出します。EthSEQでWESデータのうち異なる一塩基多型(SNP)遺伝子型プロファイルに着目して解析します。このプロファイルには、祖先の遺伝形質の決定に重要な変異が含まれます。得られた各ドナーのプロファイルを、1000 Genomes Projectで照合した既知の祖先がもつ数千個の遺伝子型が含まれるデータベースと比較します。続いて、主成分分析(PCA)でデータベースと比較してドナーの祖先を特定し、各祖先の割合を算出します。
STEMCELL社の祖先決定ワークフローは、Simons Genome Diversity Project のWESデータから有効性が確認されています。WESデータには既知の祖先が持つ何百人もの個人からの遺伝子型データが含まれ、祖先をより包括的に予測できます。

【参考資料】
1. Romanel A et al. (2017) EthSEQ: ethnicity annotation from whole-exome sequencing data. Bioinformatics. 33(15): 2402–4
2. Mallick S et al. (2016) The Simons Diversity Project: 300 genomes from 142 diverse populations. Nature. 538(7624):201–6.
3. The 1000 Genomes Project Consortium (2015) A global reference for human genetic variation. Nature. 526(7571): 68–74.

STEMCELL Technologies社ではどのように遺伝子変異を同定していますか? 全エクソーム配列(WES)のデータセットは50倍の深度で配列決定されます。これは、エクソーム(全コーディング配列の収集物)の各ヌクレオチドを50回シーケンスしたことを意味します。この膨大なデータから正確なコンセンサス配列が導き出され、ゲノムの一塩基多型(SNP)の同定が可能になります。得られた遺伝子変異体のプロファイルを公開データベースである「ClinVar」で比較し、病原性または病原性の可能性が高い変異体を決定します。ClinVarでの解析にはあらゆるサイズ、タイプ、またはゲノム位置の生殖細胞と体細胞の変異体の情報が含まれます。

【参考資料】
Landrum MJ et al. (2015). ClinVar: public archive of interpretations of clinically relevant variants. Nucleic Acids Research. 44(D1): D862–8.

STEMCELL Technologies社から購入したiPS細胞株の全エクソーム配列(WES)のデータファイルを取得可能でしょうか? はい、取得可能です。対象のiPS細胞株のWESデータを有料でご利用いただけます。WESデータを取得可能なiPS細胞株は、購入したことがあるものに限られます。また、配列データはドナーの特定に使用してはならないことをご了承ください。

品質管理に関してよくある質問

品質管理に関してよくある質問にお答えします。
質問をクリックすると回答が表示されます。
STEMCELL Technologies社のiPS細胞の品質基準を教えてください。 STEMCELL社 Technologies社では、実験のばらつきを抑えつつ適切で再現可能な結果が確実に共有されるよう、ヒト多能性幹細胞のデータ報告と品質管理対策の標準化を提唱しています。iPS細胞の品質評価とリリース基準は、International Stem Cell Banking Initiative (ISCBI) (2009)、Global Alliance for iPSC Therapy (GAiT) (2018)、およびInternational Society for Stem Cell Research (ISSCR) International Stem Cell Initiative (ISCI) が2022 年に主催したコンセンサスワークショップで推奨した内容とガイダンスに基づいて開発されました。

【参考資料】
1. Ludwig, T & Andrews, PW. (Co-Chairs) ISSCR Standards Initiative Meeting. Presented June 19, 2022 at the ISSCR Annual Meeting in San Francisco, CA.
2. Sullivan, S. et al. (2018). Quality control guidelines for clinical-grade human induced pluripotent stem cell lines. Regen Med. 13(7): 859–66.
3. International Stem Cell Banking Initiative (2009). Consensus guidance for banking and supply of human embryonic stem cell lines for research purposes. Stem Cell Rev Rep. 5(4): 301–14.

【関連情報】
いま見直すべき、ヒトES/iPS細胞の「品質管理」

STEMCELL Technologies社のiPS細胞株に対する品質管理の項目と、製造工程での実施内容を教えてください。下表をご参照ください。

評価項目 製造工程
前マスター マスターセルバンク ワーキングセルバンク 商用セルバンク
生存率
回収
無菌性
ウイルススクリーニング
マイコプラズマ
細胞株同一性
残存ベクター
T細胞クロナリティーアッセイ
核型
20q FISH
コピー数変異
全エキソーム解析
未分化マーカー解析 あり(解凍後5継代) あり(解凍後3継代) あり(解凍後3継代)
3胚葉分化能

*血液由来iPS細胞株のみ
注1:商用セルバンクからのiPS細胞のバイアルのみ市販されます。
注2:商用セルバンクのiPS細胞は、製造工程のさまざまな段階において品質を評価しています。


iPS細胞株の市販に必要な承認基準と、評価項目の分析方法を教えてください。 下表をご参照ください。

評価項目 分析方法 承認基準
生存率 NucleoCounter® NC-250™(ChemoMetec社)による、
解凍した細胞の生存率評価
≥ 60%
回収 特定の条件で解凍・培養後、細胞を回収 播種後24時間後に回収可能な接着、
および細胞がコンフルエンスに成長
細胞株同一性 Powerplex® 16 HS System(Promega社)でSTRを増幅 一致
無菌性 TSBおよびFTB中で14日間培養後、細菌と真菌の有無を確認 陰性
マイコプラズマ EZ-PCR™ Mycoplasma Detection Kit(Sartorius社)で
マイコプラズマの有無を確認
陰性
ウイルススクリーニング ヒト網羅的CLEAR PCRパネル 陰性
TCR遺伝子再構成 T細胞クロナリティーアッセイ 指定なし
残存ベクター ゲノムDNAのPCR解析 陰性
核型 分裂中期の細胞20個にG-T-L Bandingを実施 正常
20q増幅 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH) 陰性
コピー数変異 Infinium CytoSNP-850K v1.2 BeadChip
(Illumina社、#20025643)によるゲノムDNA分析
指定なし
祖先 EthSEQによる全エクソーム配列データ解析 指定なし
遺伝子変異 ClinVarによる全エクソーム配列データ解析 指定なし
TP53とBCORの状態 ClinVarによる全エクソーム配列データ解析 指定なし
未分化マーカー発現 3継代アッセイとフローサイトメトリーによる未分化細胞マーカーの検出 OCT4+, TRA-1-60+ ≥ 80%
3胚葉分化能 STEMdiff™ Trilineage Differentiation Kitで分化させた細胞に
フローサイトメトリーを実施
内胚葉:CXCR4+, SOX17+ ≥ 70%
中胚葉:T+, NCAM+ ≥ 70%
外胚葉:PAX6+, NESTIN+ ≥ 70%

略語:
STR = Short Tandem Repeat、TSB = Tryptic Soy Broth、FTB = Thioglycollate Broth、CLEAR = Cell Line Examination and Report、TCR = T cell receptor


iPS細胞株におけるSNPマイクロアレイのデータは、どのように解釈するのでしょうか? SNPマイクロアレイ解析で決定したコピー数バリアント(CNV)の情報は、iPS細胞株のロット固有の検査証明書 (CoA) に掲載しています。
SNPマイクロアレイでは代表する遺伝子座の異数性、欠失、重複、およびヘテロ接合性の喪失/不在(LOH)領域を検出できますが、均衡型の変化(相互転座、ロバートソン転座、逆位、挿入)、および点変異は検出できません。
400 kbを超える増加または減少のあったコピー数が報告の対象です(CNVの報告では太字で強調表示されます)。また、LOH領域については5 Mbを超えるものが報告の対象となります。これらの基準を満たすCNVとLOH領域については、Interpretationでご確認ください。解析ソフトウェアで識別したすべてのコピー数変化は、Call Tableをご参照ください。モザイクが検出された場合、おおよそのモザイク比率が「Variant Type (% mosaic)」列に表示されます。

STEMCELL Technologies社が販売するiPS細胞株のロット固有の品質管理(QC)情報は、どこで確認できますか? iPS細胞株のQC結果はロット固有の検査証明書 (CoA) に掲載されており、ウェブサイトで取得または請求できます。CoAの取得には商品コード番号(ST-を除いた文字列)とロット番号が必要です。これらの番号は製品ラベルや請求書に記されています。すべての数字、文字、およびダッシュを含めて正確に入力してください。場合によってはウェブサイトからCoAを入手できないことがあります。その場合には、弊社へお問い合わせください。

ライセンスと利用に関してよくある質問

ライセンスと利用に関してよくある質問にお答えします。
質問をクリックすると回答が表示されます。
STEMCELL Technologies社の販売規約について教えてください。 以下のリンクをご参照ください。
TERMS AND CONDITIONS OF SALE(STEMCELL Technologies社ウェブサイト)

STEMCELL Technologies社のiPS細胞の限定使用ライセンス(Limited-Use License)について教えてください。 STEMCELL Technologies社では、以下の限定使用ライセンスに基づき研究者にiPS細胞を提供しています。

STEMCELL Technologies社が提供するiPS細胞は、購入した研究者が所属する組織内にて研究用としてご利用いただけます。これらのiPS細胞およびその改変体(誘導体または分化した子孫を含むがこれらに限定されない)は、 (1) ヒト(臨床使用のための被験者)、 (2) 動物(治療、診断または予防目的での獣医学的利用)、または (3) 前述の一般性を制限することなく、臨床応用、細胞療法、移植、および再生医療に関連する任意の研究対象に使用または投与してはなりません。

ご購入者にはSTEMCELL Technologies社のiPS細胞およびその改変体(誘導体または分化した子孫を含むがこれらに限定しない)の商業利用を含むライセンス契約を結んでいただきます。商業利用には次のものが含まれますが、これらに限定されるものではありません。 (a) 任意の製品の製造、 (b) 商業利用のための化合物、抗体、タンパク質、またはペプチドのスクリーニング(ただし、標的の発見、標的の検証またはアッセイ開発を除く) (c) 第三者にサービス、情報、またはデータの提供目的での細胞の販売、リース、配布、譲渡または使用、 (d) 営利組織による金銭的利益のためではない内部研究向けの使用。これらのiPS細胞の商用ライセンスは、すべてSTEMCELL Technologies社へ請求することになります(まずは弊社へお問い合わせください)。
ここで付与された権利を除き、明示または黙示を問わずこれらのiPS細胞の販売によって譲渡される権利はありません。

STEMCELL Technologies社の製品は研究目的でのみ使用され、別段の記載がない限りヒトまたは動物の診断または治療目的での使用を意図したものではありません。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞に関する標準ライセンス契約は、どこで確認できますか? 以下のリンクをご参照ください。
LICENSE AGREEMENT AND TERMS AND CONDITIONS OF SERVICE: IPSCs(STEMCELL Technologies社 ウェブサイト)

STEMCELL Technologies社のiPS細胞に関する標準ライセンス契約では、どのような使用用途が許可されていますか? 下記をご参照ください。

iPS細胞または子孫の用途 許可/不許可 備考
大学など非営利組織が主体の学術研究 許可
大学など非営利組織が主体の教育目的 許可
営利組織が主体の内部研究 許可
金銭収入を目的としないサービス、情報、データの第三者への提供 許可
依頼を受けてゲノム編集、QC、分化または創薬アッセイなどのサービスを目的とした第三者への提供 許可 サービス終了後は、結果として生じたすべての細胞製品を再販売してはいけません。
商業利用を目的とした、化合物、抗体、タンパク質またはペプチドのスクリーニング 部分的に許可 市場性のある化合物の発見を目的としたスクリーニングは、STEMCELL Technologies社の標準ライセンス契約では許可されておらず、iPSアカデミアジャパン株式会社からの追加ライセンスが必要です。
標的の発見、標的の検証、疾患モデリング、およびアッセイ開発は許可されています。
金銭授受を目的としない第三者への配布または譲渡 部分的に許可 STEMCELL Technologies社のiPS細胞株は、(1) 同一の機関に所属する者、(2) iPS細胞株の購入した研究室と同じ物理的な場所および敷地で働く研究者に限り、無料で配布または譲渡できます。
(1) ヒト(臨床使用のための被験者)、(2) 動物(治療、診断または予防目的での獣医学的利用)、(3) 前述の一般性を制限することなく、臨床応用、細胞療法、移植および再生医療に関連する任意の研究対象 不許可
規制当局に登録されたヒトの診断用製品の開発(体外診断薬など) 不許可
販売目的の関連製品の製造(細胞培養用培地、器具など) 不許可 iPSアカデミアジャパン株式会社からの追加ライセンスが必要です。
金銭収入を目的とした販売、リース、配布、譲渡またはライセンス 不許可 追加の承認が必要です。詳細はお問い合わせください。
金銭収入を目的としたサービス、情報またはデータの第三者への提供 不許可 追加の承認が必要です。詳細はお問い合わせください。


製品と技術に関してよくある質問

製品と技術に関してよくある質問にお答えします。
質問をクリックすると回答が表示されます。
STEMCELL Technologies社のiPS細胞の解凍および維持方法の手順が記載された製品情報シート(PIS)は、どこにありますか? 環境への影響を減らすための継続的な取り組みの一環として、STEMCELL Technologies社では紙面での製品情報シートの提供を廃止しています。製品情報シートには推奨する解凍手順や培養条件など、iPS細胞株に関する重要な情報が含まれています。PDF書面はSTEMCELL Technologies社のウェブサイトにある製品情報ページからダウンロードできます。
例:SCTi003-A細胞株の製品情報シート

バイアル1本あたり何個のiPS細胞を入手できますか? iPS細胞の市販用バイアルを製造する際、最適密度まで増殖したクランプ(細胞塊)培養物を、ReLeSR™でより小さな凝集体へと解離させ、CryoStor® CS10中に >15,000凝集体/mLの密度で調製します。この細胞懸濁液を2 mLクライオバイアル1本あたり1 mLずつ分注した後、凍結保存します。解凍直後、クライオバイアル1本あたり約100万個の生存iPS細胞を回収できます。
注: 凝集体として凍結保存したiPS細胞は、NucleoCounter® NC-250™ Automated Cell Analyzer(ChemoMetec社)などの専用装置で生存率を評価できます。

凍結iPS細胞の融解手順を教えてください。 iPS細胞の融解および播種手順は、購入したiPS細胞株の製品情報シート(PIS)をご参照ください。
以下は、凝集体として凍結保存したiPS細胞の一般的な融解手順です。

1. バイアルの外側を70% エタノールまたはイソプロパノールで拭きます。
2. バイオセーフティキャビネット内でキャップを4分の1回転させて内圧を解放し、再び締め直します。
3. 37℃のウォーターバス内でバイアルを穏やかに振りながら細胞を素早く解凍します。
4. 凍った細胞の小さいペレットが残っている間に、バイアルを引き上げます(細胞はボルテックスをしないでください)。
5. バイアルの外側を70% エタノールまたはイソプロパノールで拭きます。
6. 2 mL血清ピペットでクライオバイアルの中身を15 mLコニカルチューブに移します。
7. 5~7 mLの温かいmTeSR™ Plusを15 mLチューブに滴下して加えながら穏やかに混合します。
8. 細胞を室温(15~25℃)、300 x gで5分間遠心分離します。
9. 細胞ペレットに触れないようにしながら培地を吸引します。
10. 細胞ペレットにmTeSR™ Plusを添加し、チューブを穏やかに弾いて再懸濁します。ピペッティングせずに、細胞を凝集体として維持するように注意してください。

注1:解凍時、細胞は凍結保存した時と同じ培養系で培養してください。
注2:無菌かつ制御した条件下での最適な凍結細胞融解には、ThawStar® CFT2 Automated Thawing Systemの使用がおすすめです。

【関連情報】
ES/iPS細胞の凍結保存と融解

新しい凍結iPS細胞を受け取ってから最初にすべきことを教えてください。 凍結保存したiPS細胞は細胞株固有の製品情報シート(PIS)に従って融解し、定期的にメンテナンスをしてください。健康な細胞を長期間未分化状態で確実に維持し拡大培養するには、培養系を綿密にモニタリングしてください。

【関連情報】
ヒト多能性幹細胞(hPSC)の形態評価

研究室で新しいiPS細胞株を確立する場合には、細胞を拡大培養して十分に特性を評価したバンクを作製し、保管することを強く推奨します。研究目的でのhPS細胞のバンキングと特性評価に関する事例は、International Stem Cell Initiative (2009)によるコンセンサスガイダンスをご参照ください。
STEMCELL Technologies社ではWiCell Research Instituteと協力して、iPS細胞の特性評価とバンキングのサービスを提供しています。サービスの詳細はSTEMCELLのウェブサイトをご覧になるか、弊社へお問い合わせください。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞の維持に最適な培養系を教えてください。 mTeSR™ Plus
STEMCELL Technologies社のiPS細胞株の製造に使われている培地です。cGMPガイドラインに準拠して製造されたmTeSR™ Plusは、基礎的なiPS細胞の研究だけでなく細胞療法や治験薬の研究アプリケーションにも最高の品質と一貫性を保証します。FGF2を含む重要な培地成分が安定化したこととpH緩衝能が強化されたことで、週2回の培地交換スケジュールでも細胞の品質特性を維持し、細胞増殖速度と播種効率を高めることができます。
mTeSR™ Plus Technical Manualはこちら(STEMCELL Technologies社ウェブサイト)

ReLeSR™
手作業による選択や掻き取りをせずに、酵素を使わずにiPS細胞を凝集体として解離および継代できる細胞解離用試薬です。ReLeSR™でiPS細胞を継代すれば最適なサイズの凝集体が得られ、手作業に伴う手間やブレを無くせます。細胞を掻き取る操作が不要で培養フラスコなどの密閉容器を使用できるようになり、培養のスケールアップと自動化が容易になります。500 mLサイズのReLeSR™はcGMPガイドラインに準拠して製造され、再現性ある結果が得られるよう最高の品質と一貫性が保証されています。
ReLeSR™ 製品情報シートはこちら(STEMCELL Technologies社ウェブサイト)

Corning® Matrigel® hESC-Qualified Matrix(Corning #354277):
STEMCELL Technologies社のiPS細胞株の製造に使われている細胞培養基質です。細胞外マトリックスタンパク質が豊富な腫瘍である Engelbreth-Holm-Swarm (EHS) マウス肉腫から抽出され、再構成された基底膜製剤です。ラミニン 約60%、IV型コラーゲン 約30%、エンタクチン 約8%を含有しています。

培地、サプリメント、基質、解離試薬、分割比、インキュベーターのCO2濃度など、推奨するiPS細胞株の培養条件の詳細はロット固有の検査証明書(CoA)でご確認ください。

融解後のiPS細胞の生存率はどのくらいでしょうか? 凝集体として凍結保存されたiPS細胞では、融解後の細胞生存率は >60%です。 クライオバイアル1本からは約100万個の生存したiPS細胞を回収できます。ロット固有の生存率測定値は、iPS細胞株の検査証明書(CoA)に記載されています。STEMCELL Technologies社のiPS細胞の品質管理評価とリリース基準の詳細は、本稿の「品質管理に関してよくある質問」をご参照ください。
注: 凝集体として凍結保存したiPS細胞は、NucleoCounter® NC-250™ Automated Cell Analyzer(ChemoMetec社)などの専用装置で生存率を評価できます。

iPS細胞の融解時の培養条件は、凍結保存時と異なっていても問題ないでしょうか? 凍結保存時と異なる条件でのiPS細胞の融解~培養は推奨していません。異なる培養系に移行したiPS細胞は、新しい環境への適応に時間がかかるためです。細胞株固有の製品情報シート(PIS)および検査証明書(CoA)に記載されているものと異なる培養系で融解した場合、iPS細胞の正常な回復を保証いたしかねます。
実験の都合上、別の培養系で融解せざるを得ない場合は、一度に1つの培養系の構成要素(つまり、培地または基質)に限り変更することを強く推奨します。成功する可能性を高めるため、広範囲の細胞濃度で検討して播種してください。維持培地にCloneR™2を添加することで、播種効率をより高めることも可能です。
培地、サプリメント、基質、解離試薬、分割比、インキュベーターのCO2濃度など、推奨する培養条件の詳細はロット固有の検査証明書(CoA)でご確認ください。

iPS細胞を異なる培養系に移行するにはどうすればよいですか? iPS細胞をmTeSR™ PlusからmTeSR™1TeSR™-E8™、またはTeSR™-AOFに移行する場合、細胞の融解時から直接移行しない限り馴化ステップは不要です。酵素不使用の継代プロトコールに従い、新しい維持培地を入れたコーティング済みの培養器具に細胞凝集体を播種します。
採用した播種密度が新しい培地での培養系に適切かを確認するため、最初はmTeSR™ Plusでの培養系を並行して維持することを推奨します。iPS細胞を低タンパク質培地(TeSR™-E8™など)に移行すると増殖速度が低下することがあり、通常の継代間隔ではコンフルエンスが低下します。
最適な継代日を確実に決めるため、移行後には培養系を注意深くモニタリングしてください。これは、安定化培地での同じ密度での培養に比べて継代日が遅れる可能性があるためです。あるいは、成長の低下を補うために分割比を調整することもできます。例えば、TeSR™-E8™に移行したコロニーが許容速度でコンフルエントに達しなければ、播種する凝集体を20~25%増やします。
基質にCorning® Matrigel® hESC-Qualified Matrix(Corning #354277)を使用して培養したiPS細胞は、馴化ステップをせずにVitronectin XF™またはLaminin-521へと移行できます。

注:培地と基質は同時に変更できます (例:mTeSR™ PlusとCorning® Matrigel®で培養した細胞から、TeSR™-E8™とVitronectin XF™での培養へ移行)。
注:融解時にiPS細胞を凍結保存した時と異なる培養系での培養は推奨しません。新しい培養系への移行前に、凍結保存時と同じ培養系で最低2継代培養して細胞を安定させてください。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞はどのように継代すればよいでしょうか? 細胞の解離にはReLeSR™を使用し、直径約50~200 μmの小さな凝集体としてiPS細胞を継代することを推奨します。ReLeSR™なら手作業による選択や掻き取りをせずに、酵素を使わずにiPS細胞を解離および継代できます。この方法で正常な核型を維持しながら、多くの細胞株を長期的に増殖できることが示されています。ReLeSR™の使用方法の詳細は製品情報シートをご参照ください。細胞凝集塊を作製しiPS細胞を継代する方法の動画マニュアルもご活用ください。

注:iPS細胞株の推奨する分割比は、ロット固有の検査証明書(CoA)をご参照ください。

増殖させた後にiPS細胞を再凍結できますか? ヒトiPS細胞は自己再生能力を持ち無期限に維持培養できますが、大規模な継代は推奨しません。長期間にわたり未分化状態の健康な細胞を維持・拡大培養するには、綿密にモニタリングしてください。
研究室で新しいiPS細胞株を樹立するときは、特性を十分に評価したマスターセルバンクを作製後、約20週ごとに戻れるワーキングセルバンクの作製してください。細胞の自己複製傾向が高まるなどの選択的優位性が生じる体細胞変異は、時間の経過とともにiPS細胞の培養過程で固定化される可能性があります。このような選択は、培養で長期間維持されたヒトiPS細胞に見られる非ランダムな遺伝的変化の発生につながります。これらの変化は主に核型分析で検出され、通常、12、17、20およびX染色体、またはそれらの染色体断片の非ランダムな増加を伴います。そのため、約50継代で培養を終了し、ワーキングセルバンクから培養を再開することを最善の方法としてお勧めします。
STEMCELL Technologies社では、10継代ごとにGバンディングによるiPS細胞の核型分析を推奨します。iPS細胞で最もよくみられる8種の染色体異常をqPCRでスクリーニングできるhPSC Genetic Analysis Kitの導入もご検討ください。このキットには、独立した20サンプルをtriplicateで分析するのに十分な試薬が含まれています。
STEMCELL Technologies社ではWiCell Research Instituteと協力して、iPS細胞の特性評価とバンキングのサービスを提供しています。サービスの詳細はウェブサイトを参照するか、弊社へお問い合わせください。

【参考資料】
The International Stem Cell Initiative (2011) Screening a large, ethnically diverse population of human embryonic stem cells identifies a chromosome 20 minimal amplicon that confers a growth advantage. Nat Biotechnol. 29(12): 1132–44.

【関連情報】
いま見直すべき、ヒトES/iPS細胞の「品質管理」

STEMCELL Technologies社のiPS細胞に含まれるOCT4+ および TRA-1-60+ 細胞の純度はどのくらいですか? STEMCELL Technologies社では、細胞の未分化状態は、フローサイトメトリーでOCT4 および TRA-1-60 の発現レベルを定量化して分析しています。市販のiPS細胞株では、>80%の細胞がこれらのマーカーを発現しています。ロット固有の未分化マーカーの発現レベルは、iPS細胞株の検査証明書(CoA)に記載されています。STEMCELL Technologies社の iPS細胞の品質管理評価とリリース基準の詳細は、本稿の「品質管理に関してよくある質問」をご参照ください。

凍結融解後のiPS細胞は、どのくらいの期間で下流のの分化実験に移行できますか? 凝集体として凍結保存したiPS細胞は2継代以上培養して安定させてから、下流の分化実験を開始ください。これは、増殖速度を安定化させ、形態学的に高品質な特徴を確立させるためです。凍結保存したiPS細胞は細胞株固有の製品情報シート(PIS)の指示に従って、融解および定期的なメンテナンスをしてください。健康な細胞を未分化状態で確実に維持し拡大するためには、培養系を綿密にモニタリングしてください。分化実験を開始する条件として、iPS細胞自体が高品質であることが不可欠です。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞はどのような細胞型に分化できますか? STEMCELL Technologies社が開発したすべてのiPS細胞株は、STEMdiff™ Trilineage Differentiation Kitで多能性を評価しています。各胚葉につき2種類の特異的マーカー、すなわちPAX6とNESTIN(外胚葉)、BRACHYURYとNCAM(中胚葉)、およびCXCR4とSOX17(内胚葉)の発現をフローサイトメトリーで評価します。ロット固有のマーカー発現レベルは、iPS細胞株の検査証明書(CoA)に記載されています。
さまざまな分化実験で評価済みのiPS細胞株を選ぶようにしてください。
例えば、SCTi003-Aは以下のSTEMdiff™キットに適応していることを確認しています。
STEMdiff™ SMADi Neural Induction Kit
STEMdiff™ Forebrain Neuron Differentiation Kit
STEMdiff™ Astrocyte Differentiation Kit
STEMdiff™ Dorsal Forebrain Organoid Differentiation Kit
STEMdiff™ Cerebral Organoid Kit
STEMdiff™ Ventricular Cardiomyocyte Differentiation Kit
STEMdiff™ Hematopoietic Kit
STEMdiff™ Microglia Differentiation Kit
STEMdiff™ Intestinal Organoid Kit

分化に関するデータの大部分はSTEMCELL Technologies社のウェブサイトにあります。
特定の系統または細胞型への分化に関する詳細情報が必要でしたら、弊社へお問い合わせください。

【関連情報】
ES/iPS細胞からさまざまな細胞への分化誘導 (STEMCELL Technologies社)

凍結保存したiPS細胞を3D懸濁培養系に直接播種することはできますか? 凍結保存したiPS細胞の凝集体を3D懸濁培養系に直接播種することは推奨しません。
融解したiPS細胞は、mTeSR™ PlusでCorning® Matrigel® hESC-Qualified Matrix(Corning #354277)上で2D培養すると、約2回の継代で安定化します。安定化した細胞は別の馴化段階を経ずに動的懸濁培養(3D培養系)へと直接移行できます。
iPS細胞を正常に増殖させ、懸濁培養系内で多能性を維持するには、高品質なiPS細胞の培養から始めることが非常に重要です。通常、iPS細胞はmTeSR™ PlusならCorning® Matrigel® hESC-Qualified Matrix上に2Dで維持し、ReLeSR™で解離処理して直径50~200 µmの塊として継代します。
2Dで培養したiPS細胞に対して、以下の示す高品質な細胞の特性をもつことを確認した上で3D懸濁培養系に移行してください。
・フローサイトメトリー評価において、90%以上の細胞でOCT4、TRA-1-60、SSEA-3を含む未分化マーカーを高く発現
・コロニーの形態が良好で、分化した細胞の割合が10%未満
・増殖速度が正常
・Gバンディング解析またはqPCRによる評価において、核型の保持を確認

iPS細胞の維持培地に抗生物質を添加する必要はありますか? 添加不要です。iPS細胞の無菌培養を維持するには無菌操作で十分なため、培地に抗生物質を添加する必要はありません。可能であれば抗生物質の使用を控えてください。抗生物質の存在により、潜在的な汚染を見逃す可能性があるためです。

STEMCELL Technologies社のiPS細胞株はcGMPに準拠して製造されていますか? iPS細胞はcGMPに準拠した製造ではありません。
ただし、細胞の維持・増殖用培地 mTeSR™ Plus、細胞継代用の解離試薬 ReLeSR™、凍結保存液 CryoStor® CS10など、iPS細胞の製造工程の重要な段階で使われる試薬はcGMPに準拠しています。 重要な点として注意いただきたいのが、「GMP」とはグレードではなく、最終製品が意図した用途に対して安全で効果的であることを保証する品質管理システム(QMS)上の一連の工程、方針、管理を指していることです。「GMP対応」したiPS細胞の製造工程には、GMP生産チームの訓練、GMP施設の準備、USPグレードの特性評価アッセイの認定など、生産に関わるすべての段階で実施される管理が含まれます。また、ドナーを募集する主な地域での試料の調達・処理、サプライチェーン、リプログラミング、セルバンキング、および特性の評価などの管理もGMPに含まれます。
cGMP準拠施設で製造されたiPS細胞株にご興味をお持ちでしたら、弊社へお問い合わせください。

T細胞由来のiPS細胞株では、起源となるT細胞についてどのような情報が提供されますか? 末梢血単核細胞(PBMC)由来のiPS細胞株にはT細胞クロナリティー解析をして、T細胞からリプログラミングされた細胞かを判定します。T細胞由来のiPS細胞株であれば、T細胞受容体(TCR)は次のような特徴があります。
・TCR-αβ陽性
・TCR-λβ陽性
・TCR-αβ/λβ二重陽性
リプログラミングの前にPBMCを選別していないため、iPS細胞株がナイーブまたはメモリー CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞に由来するかどうかは判断しかねます。iPS細胞株の起源となる細胞の詳細は、製品情報シート(PIS)または検査証明書(CoA)をご参照ください。

出荷・配送に関してよくある質問

出荷・配送に関してよくある質問にお答えします。
質問をクリックすると回答が表示されます。
凍結したiPS細胞はどのように発送されますか? STEMCELL Technologies社のiPS細胞は、CryoStor® CS10(無血清の凍結保存培地)に懸濁した状態で、ドライアイスまたはご要望に応じて液体窒素で梱包し出荷されます。

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